「さむーいよー」
「ねー…流石1月」
「でも毎年恒例だしなー」
「だな」
「なんだかんだでみんな楽しみにしてるもんなー」
『……』
「あれ、なんでみんなそこで無言になるの」
「寒いねー」
「ねー」
「無視かよ!」

1月1日元旦。
毎年生徒会のメンバー5人で初詣に行く事は、ある意味恒例行事となっていた。

「今年は何お願いしようかな―」
「私内緒!」
「オレも!」
「結局みんな内緒なんだよな」
「だって言ったらつまんないじゃん。ねー?」
「ねー!」

この会話の毎年恒例の会話。
こんな他愛もない会話をしながら神社に向かう。
すぐ着くという時間間隔からして、本当に仲が良い。

「さて、今年はいくら入れようかな」
「5円だろ」
「だよね」
「やっぱり?」
「みんな5円あるー?」

御賽銭箱の前で5円玉を探す高校生たち。
それは少し笑いが出てしまうようなばかげた光景だった。

「あー!!!あったあああああああああ」
「よーしじゃあ入れるぞー」

全員でチャリン、と御賽銭を入れる。
いつも最後まで手を合わせているのは有樹。

「相変わらず有樹長いな」
「ねー」
「何お願いしてんだろな」
「よっし!」
「おっ終わった?」
「うん、大丈夫!」
「じゃーおみくじいくか!」

御賽銭箱にお金を入れた後は、恒例のおみくじ。
全員で一枚ずつ引き、一斉に開く。

「せーのっ!」
「……おっ俺大吉」
「私もー!」
「僕も大吉!」
「俺も」

4人が喜んでいる中、わなわなと震えているのが1人。

「あれ。リィ?」
「おーい?だいじょぶ?」
「完璧固まってるな」
「おみくじ見て平気かな」

神凪がすっとリウのおみくじを取って全員で覗き込む。

「……こ、れは」
「ある意味すごいな」
「びっくり。私初めて見た」
「……うわ」

そこに書かれていたのは「大凶」の文字。

「あ、る意味レアだよね…」
「これ引き当てるの相当難しいぞ」
「強運だな」
「…リ、リィ?」

そのままリウは動かなくなったという。
と、言うのは冗談でその後意地になってもう一度おみくじを引いた。

「どうだった…?」
「大吉…!!」
「よかったじゃん!でもさっきのと合わせたら吉ってとこだね」
「……」
「まあでもさ、とりあえず恒例行事の1つは終わったね」
「次はなんだっけ」
「……バレンタイン?」
「アッー」
「なにその声」
「今年は誰が一番多くもらえるかね」
「去年は僅差で神凪だったな」
「でも今年は黎じゃない?」
「どーだろうな」
「まあ楽しみは2月までおあずけってことで」

また他愛もない話で盛り上がる。
なぜかそれがとても心地よくて、ずっと一緒に居たいと思ってしまう。

「ばーか。みんな大好き!」

それが実は有樹が毎年祈ってることだということは、有樹と神様以外誰も知らない。
ずっとこの関係が続きますように、と祈っているのは有樹だけではないことは、これこそ誰も知らない幸せな願いだった。













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あとがき
11/01/30 (Sun) 藍月 廉
雑に書きすぎてちょっと変な所あるかもしれないです。
つまり、みんな一緒にいたいねって話でした!
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