今年の夏の暑さは以上。
8月は35℃を越え、猛暑の毎日。
9月に入っても、残暑ではなく猛暑が何日も続いていた。
そんな中、夏休み中もずっと仕事の毎日な生徒会メンバーは、今日も学校に来て仕事をしていた。

「なんで休みなのに学校来なきゃいけないのー」
「おーい頑張れかいちょー」
「って言ってるそばからリウくんとうたさんはなーにしてるのかなーぁ?」

2人はソファの上に立ち、エアコンの風を間近に受けていた。

「えっちょっときゅうけー」
「ねー」
「…暑いんだけど」
「涼しいよー?」
「おまえらが遮ってるおかげで風全く風来ないんだけど」
「……」
「じゃあもっと設定温度低くして強にしようぜ!」
「え…あ」

止める暇もなくリウの行動は素早かった。

「ほら、これで涼しいだろ?」

いきなり『ぶおー』という音が生徒会室に響き渡る。
凄い風で、有樹はすでにソファの上から避難していた。

「うおー風つえーさむっ!」
「ばーか」

笑いながら乱れた髪を直す有樹。

「…なぁ、ちょっと音凄すぎないか?」
「む。確かに…リィ、ちょっと弱めて」
「ほーいっと。…あれ」

リウの顔が少し曇った。
何度もリモコンのボタンを押しまくる。

「どうした?」

黎が近寄っていく。
リウからリモコンを取り上げボタンを押す。
そしてまた伝染したかのように、黎の顔が曇った。

「…まさか」

全員の顔が真っ青になる。
エアコンは止まることを知らずに、強く冷たい風をひたすら送ってくる。

「……」

『さむッ!!!!!』




*          *          *




それから1時間後、エアコンは自動的に止まっていた。
どうやら本格的に壊れたらしい。
その間5人は、リウの力で別の空間に行っていた。
そこはまるで天国のような、楽園のような。
時間が経つのも忘れてしまいそうなほどの、素晴らしい世界。
しかし誰かがエアコンの話題を切り出せば、自動的に現実に戻る。
その虚しさが嫌で誰もがエアコンの存在を忘れ、そしてその日に溜まっていた仕事の存在も忘れていた。
そしてもう一度現実に帰ってきたのは、次の日の昼頃だった。

「なぁ、やばくねぇ?」
「いやでも…もう謝るしか…」
「…逃げちゃう?」
「いやだめだろ」
「……」

『生徒会メンバー5人、速やかに理事長室に来ること!速やかに!』

これで2度目の放送。
理事長から直々にお呼びだし。これはもう、行って謝るしかない。

「よし、みんな。覚悟決めよう」
「……」
「おう」
「はぁい」
「うっし、行くか!」

覚悟を決め、理事長室に向かった。
理事長室での出来事は2時間にも及び、その後5人は死んだように生徒会室に帰ってきた。
理事長室で何が起きたか、知る人は実際に行ったメンバーと理事長だけであった。














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今年の夏は暑いよね!って話でした。
別の空間、結局理事長室で何が起きたか。
これはご想像にお任せします(笑)
10/09/23 (Thu) 藍月 廉


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